酒
Oct 1, 2025
藤井 厳喜
脊山 麻理子

日比谷公園で開かれたシェリーの試飲会。快晴の空の下、世界的な生産者たちが集結し、日本では滅多に触れられない本場のシェリー文化に触れる貴重な機会となりました。今回はその現場から、シェリー原産地呼称統制委員会会長 セサル・サルダーニャ氏、そして世界を牽引する LUSTAU、海のそばで熟成される辛口シェリーの名手 Hidalgo La Gitana の物語を中心にお届けします。ただの「お酒の紹介」ではありません。生産者たちの思想、土地の風、歴史、そして文化。一杯のグラスを通して見えてくる“シェリーの魂”とは何か?ワインでも日本酒でもない、唯一無二の世界へ。
シェリーの名を守る原産地呼称統制委員会。その会長を務めるセサル・サルダーニャ氏。シェリーは“どこでも作れる酒”ではありません。産地、気候、造り方が厳格に定められ、基準を満たさなければ「シェリー」と名乗ることは許されません。委員会は世界各国の法律によってその名称を保護し、時には海外とも交渉しながらブランドを守り抜きます。セサル氏は、シャンパンやバーボン、コニャック、メキシコのテキーラとも連携し、「原産地の誇り」を世界に向けて発信。「シェリーはもっと日本で愛されるべき酒です」と語り、特に天ぷらや刺身と合う可能性を強調しました。文化、国境、言葉さえ越えて届けられるシェリーの魅力。その熱意が、会場の空気を熱くしました。
スペインを代表するボデガ LUSTAU(ルスタウ)。1896年創業、限定生産の上質な樽を揃え、少量でも最高品質を追求する姿勢で「プレミアムシェリーの基準」と称される存在です。飲み比べたのは爽やかで旨味のある「フィノ・ハラーナ」と、平均15年熟成の深みある一本。和食との相性は抜群で、ほたるいかや天ぷら、塩辛まで、和の旨味に寄り添う力強さがありました。「日本料理の席にシェリーのボトルが並ぶ日を目指したい」という言葉が印象的でした。お酒を売るためではなく“文化として根付かせたい”。その姿勢に、未来の可能性を強く感じます。

続いて登場したのは、Hidalgo La Gitana(イダルゴ・ラ・ヒターナ)。創業1792年、220年以上続く歴史ある家族経営のボデガです。大西洋からわずか200mに位置する熟成庫は、一年中海風が通り抜け、シェリーに独特の塩味とキレのある酸を与えます。その象徴が、辛口マンサニージャ「La Gitana」藤井も思わず「この一本でシェリーに惚れた」と語るほど、食事を生かす力が圧倒的。ナポレオンの侵略期を商いで乗り越え、生き延びてきた“奇跡のワイナリー”という歴史もまた胸を打ちます。海の風、武勇伝、誇り。シェリーは文化そのものなのだと感じさせる時間でした。

銀座しぇりークラブ:牧野恵さん
シェリー原産地呼称統制委員会会長:セサル・サルダーニャさん
「LUSTAU」プレミアムシェリーの先頭を走るスペイン屈指のシェリーメーカー
「Hidalgo La Gitana」海から200m…大西洋のすぐそばにワイナリーを持つ辛口シェリーの名手
日本ではまだあまり知られていないシェリー。しかし、今日の試飲会で強く感じたのは、これは単なる“酒”ではなく、その土地を丸ごと飲む体験だということでした。会長や生産者の言葉には、誇りと情熱、そして「未来への挑戦」がありました。日本料理と響き合う味わい、文化を超える力、作り手の想い。そのすべてが一杯に宿っていたように思います。
もっと多くの人にこの味とストーリーを届けたい。そう思える、忘れられない時間でした。
国際政治学者。ハーバード大学大学院博士課程修了。日本のマスメディアでは決して報道されない、欧米政府が扱うレベルの政治・経済の動向、そして市民レベルの情報も踏まえて、文化、思想、宗教など多方面から分析し未来を的確に見抜くその予測能力は、内外の専門家から高く評価されている。
元日本テレビアナウンサーであり、現在はフリーアナウンサー兼マルチタレント。知性と表現力を武器に、テレビ・ラジオ出演はもちろん、グラビアや写真家、さらにはプロレス挑戦など多彩な分野で活躍。慶應義塾大学卒という理系のバックグラウンドを持ちつつ、自分の枠を超えた挑戦を続ける、自由で多面的な表現者。
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