ゲスト
白井 慎一


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「家でウイスキーを熟成させる」なんて、プロの話だと思っていないだろうか。実は日本唯一の樽メーカー・有明産業が作るミズナラの小樽があれば、市販のウイスキーが自宅で別物に変わっていく。サクラ材の樽から桜餅の香りが宿る話、樽から染み出る蜜状の液体が"美味しさの証"である理由、そして九州の焼酎文化がウイスキー造りを進化させているという驚きの事実。バーボン専門家・白井慎一さん(Milwaukee's Club)が語る、樽と時間と素材の知られざる世界。最後まで読めば、あなたも今夜、樽を探したくなるはずです!
京都で日本酒の木箱を作っていた職人が、プラスチック台頭による廃業危機を経て九州・宮崎に移り、焼酎やウイスキーの樽を作り続けている。これが有明産業の原点だ。その代表格がミズナラ材の小樽。アメリカンオークより板が厚く耐久性が高く、4〜5回どころか10回以上の使用に耐える。しかもミズナラが醸し出す香りは「神社仏閣の香り」と表現されるほど独特で、海外のメーカーが競って手に入れようとしているほどだ。山崎や余市がミズナラ熟成で世界の賞を取ってきた実績は伊達ではない。気になる人は見逃さないでほしいのだが、今やこの樽は注文が殺到して入手困難になりつつある。

小樽の外側にじわりと染み出る蝋状の液体、あれはウイスキーと木の成分が混ざり合ったものだ。白井さんはこれを「美味しい印」と表現する。完全密閉の樽より、多少漏れが出ている方が外気との呼吸が活発で、中身が甘く仕上がりやすいという。自宅での楽しみ方は単純明快で、半分以下になったら一度払い出して新しいウイスキーを入れ直す。最初の1回目は樽の個性が圧倒的に強いため、ブッカーズやワイルドターキー レアブリードのようにアルコール度数55〜60度以上のものを入れるのが鉄則。角瓶のような市販ウイスキーでも時間をかければ十分に化けるというのも、やってみたくなる話だ。
焼酎を長年蒸留してきた九州の職人たちが、今ウイスキー造りに参入している。樽の扱いを知っている、気候が温暖でトロピカルな風味が出やすい、焼酎とウイスキーの知恵が互いにフィードバックされる。この三拍子が揃った土地が、日本のウイスキーの次の震源地になりつつある。一方アメリカでは現在1500以上の蒸留所が乱立し、桜やチェリーのチップで独自のスモークを仕込むなど、前例のない実験が続く。バーボンフェスティバルは今やプラチナチケットの激戦区。世界のウイスキーシーンは、今この瞬間が最も面白い時代に突入している。


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自宅の棚に"小さな蒸留所"を置く日
日本唯一の樽メーカー・有明産業が作るミズナラ樽が市販ウイスキーを別物に変える理由樽から染み出る蜜は美味しさの証だった
"漏れている樽の方が旨い"という逆説と熟成を自分でコントロールする技術の話焼酎とバーボンが交差する九州発ウイスキーの夜明け
温暖な気候と蒸留の知恵が生む、日本の次なるウイスキー聖地の可能性
「樽を持つ」という発想が、今日まで自分の中になかったことに気づいた回でした。蒸留所がやることだとばかり思っていた熟成を、自宅で楽しめる。しかも入れるウイスキーによって、育ち方も香りも変わっていく。白井さんが「ハマると6個並べる人もいる」と笑いながら話していたのが妙にリアルで、気づいたら樽を探している自分がいました。「最後に焼酎を入れると美味しくなる」という締めの一言も、ちゃんと伏線として残しておきたい話です。

Milwaukee's Club(ミルウォーキーズクラブ)オーナー
日本におけるバーボンウイスキーの権威であり、バーボンの発祥であるアメリカのケンタッキー州からも現地の人がスタディツアーに来日。
100種類のバーボンを飲み分け、審査員や監修も務める。『バーボンの歴史』監訳・『蒸留酒の自然誌』監訳
ベンチャーウイスキーで有名なイチローズモルトの創業者とオリジナルバーボンも手掛ける。無類の猫好き。
Milwaukee's Club所在地:埼玉県川口市栄町3丁目13-1 樹モールプラザ2F
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