マハンが警告した「海を制する者」の

マハンが警告した「海を制する者」の

論理 今、現実になる。

論理 今、現実になる。

藤井 厳喜

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世界の貿易の80%以上は今も船で運ばれている。その「海の道」が今、かつてなく危機に瀕している。藤井厳喜が新戦略論体系のマハン編を現代の視点で読み直しながら明かすのは、なぜアメリカの艦船数が7000隻から300隻に激減したのか、フーシ派がスエズ運河をほぼ封鎖した意味、そして中露というランドパワーがなぜ「航行の自由」を必要としないのかという、知られざる地政学の構造だ。日本が戦後栄えてきた根本的な理由を知れば、今この瞬間に何が失われつつあるかが一気に見えてくる!

1.世界貿易の80%を支える「航行の自由」が崩れ始めている

1.世界貿易の80%を支える「航行の自由」が崩れ始めている

海洋の自由という概念は1600年代の大航海時代から続く国際秩序の根幹だ。しかし今、その根幹が複数の方向から同時に侵食されている。イランの支援を受けたフーシ派が紅海を航行するイスラエル関連船を次々と攻撃し、スエズ運河の通過量は激減した。スエズ運河は世界貿易の15〜20%を担う大動脈だ。南シナ海については、中国が国際司法裁判所の判決を「一片の紙に過ぎない」と一顧だにせず、人工島を要塞化して「中華人民共和国の内海」と公言し続けている。マラッカ海峡周辺の海賊問題も含め、日本のタンカーが拿捕される現実はすでに起きている。日本のエネルギー供給ラインそのものが、今脅威にさらされているという現実から目を背け続けることは、もはや許されない。

2.アメリカ海軍の凋落と、イギリス海軍の消滅に近い現実

2.アメリカ海軍の凋落と、イギリス海軍の消滅に近い現実

第1次世界大戦終戦時、アメリカ海軍の艦船数は7000隻を超えていた。それが今、実戦配備できる艦船は300隻に満たない。同様にイギリスも深刻で、1998年と2024年を比較するとフリゲート艦は23隻から6隻へ、駆逐艦は12隻から実戦配備3隻へと激減した。空母は最新鋭の2隻を持つが、常にどちらかが故障中というありさまだ。フォークランド紛争を戦い抜いたかつてのイギリス海軍の面影はない。かつてマハンが「海洋を支配する者が世界を支配する」という原理を示し、アメリカはその原理に従って戦後の自由貿易秩序を担ってきた。しかしその柱が今、急速に細くなっている。ソ連がアメリカの海洋覇権に挑んで失敗したように、中国も同じ失敗をたどる可能性が高いが、だからといって日本が安心していられる余裕はない。

3.日本が今こそ「大海軍」を持たなければならない理由

3.日本が今こそ「大海軍」を持たなければならない理由

藤井が提唱するのは、マハンの古典的な海洋戦略を現代に置き換えた「ニューマハン理論」だ。中露はランドパワーであり、互いに国境を接して鉄道・トラックで貿易が完結するため、航行の自由を必要としない。一方、日本・アメリカ・オーストラリア・インドはいずれも海洋貿易なしには繁栄できないシーパワー国家だ。この4カ国による「セキュリティダイヤモンド」は安倍元首相の構想だったが、今こそその意味が問われている。日本がすべきことは明確だ。陸上自衛隊の規模を縮小し、海軍力・空軍力に集中投資する。インド海軍の育成を支援し、インド洋からマラッカ海峡の安全をインドに担わせる長期戦略を描く。NATOとは全く異なる「海洋国家連合」を東アジアからインド太平洋にかけて構築する。それが日本の繁栄を次の世代に引き継ぐための唯一の道だと言い切る。

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内容紹介

内容紹介

  1. 食卓を支える「海の道」が壊されつつある

    航行の自由にフーシ派・南シナ海・海賊が同時に牙を剥く現実


  2. 7000隻から300隻へ。アメリカ海軍が縮んだ先に何が起きるか

    イギリス海軍の凋落と、中国がソ連と同じ失敗をたどる理由


  3. 安倍元首相の「セキュリティダイヤモンド」が今こそ問われる

    米印豪のシーパワー連合と、日本が海軍力に集中すべき理由

編集後記

編集後記

「7000隻が今や300隻に満たない」という数字を初めて聞いた時、正直信じられなかった。戦後の世界秩序は、実はアメリカの圧倒的な海軍力という物理的な力の上に成り立っていたのだと改めて実感した。フーシ派がスエズ運河をほぼ封鎖しているという話も、日本でほとんど報道されないだけで現実に起きていることだ。「航行の自由」というのが抽象的な理念ではなく、日本人が今日食べるものを運ぶタンカーの話だとわかると、急に切迫した問題として見えてくる。マハンを今学び直すということの意味が、聴き終えた後に初めて腹落ちした回でした。

 

プロフィール

プロフィール

藤井 厳喜

藤井 厳喜

国際政治学者

国際政治学者

国際政治学者。ハーバード大学大学院博士課程修了。日本のマスメディアでは決して報道されない、欧米政府が扱うレベルの政治・経済の動向、そして市民レベルの情報も踏まえて、文化、思想、宗教など多方面から分析し未来を的確に見抜くその予測能力は、内外の専門家から高く評価されている。

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