"メリークリスマス”が消えた日

"メリークリスマス”が消えた日

文明が問い直す信仰のかたち

文明が問い直す信仰のかたち

その他

Dec 1, 2023

藤井 厳喜

「メリークリスマス」という言葉が、アメリカから消えつつある。その現象は、単なる挨拶の変化ではなく、文明の価値観が揺らぐサインかもしれない。キリストの誕生を祝う日が「差別」とされ、代わりに“SEASON’S GREETINGS(季節のご挨拶)”が使われる時代。そこには宗教や文化の多様性を超えた「自己否定」が潜んでいるのではないか。クリスマスが“人類共通の文化”として存在できるのはなぜか。今回は、ヨーロッパからアメリカ、そして日本まで続くキリスト教文化の変遷を紐解きながら、宗教・文明・風習の本質に迫る。聖夜の裏にある「文明の物語」最後まで見逃すな!

1.「メリークリスマス」が消えた理由

1.「メリークリスマス」が消えた理由

アメリカでは“宗教的な偏り”を避けるために、企業広告や挨拶から「Merry Christmas」が姿を消した。多宗教・多文化社会に配慮した結果、「季節のご挨拶(Season’s Greetings)」が定番化。だが講師は「キリスト教文明を否定すれば、アメリカ文明そのものが失われる」と語る。宗教的寛容と文化的アイデンティティ、その線引きが問われている。

2. 冬至と太陽の復活「クリスマスの原点」

2. 冬至と太陽の復活「クリスマスの原点」

キリストの誕生日は実際には不明だが、12月25日は“冬至”と重なる。光が最も弱まり、そこから再び蘇る日として「太陽の誕生」を祝う古代ヨーロッパの祭りが、やがてキリストの誕生祭と結びついた。つまりクリスマスは、自然信仰とキリスト教の融合文化でもある。ホワイトクリスマスやモミの木、トナカイといった風景も、北ヨーロッパの風習がアメリカで再構築された結果である。

3.信仰と文明の関係「ローマから現代へ」

3.信仰と文明の関係「ローマから現代へ」

藤井は、ローマの多神教からキリスト教への転換が文明の価値観をどう塗り替えたのかを俯瞰しながら語る。科学技術文明の発展は本来キリスト教と必然の関係にあったわけではない。しかしヨーロッパの人々は、一神教の枠の中に多神教的な感覚を残し続けた。クリスマスツリーやプレゼント文化、家族で温かく過ごす習慣。それらは宗教と民俗が溶け合った“柔らかな多様性”の象徴だ。文化を消すのではなく、違いを抱えたまま共存する。そのヒントが、クリスマスに宿っている!

内容紹介

内容紹介

  1. “Merry Christmas”が消えていく理由

  2. 太陽の復活を祝う“光の祭り”としてのクリスマス

  3. 文明をつないだ“一神教の器と多神教の感性”

編集後記

編集後記

「メリークリスマス」が消える。たった一言の変化に、時代の不安がにじんでいるように思います。宗教の違いを超えて“おめでとう”を言い合える世界が理想だとしても、背景にある文化まで消してしまっては、心の居場所がなくなってしまう。文明とは、記憶を受け継ぐこと。飾られたツリーのモミの木や、教会の鐘の音には、数千年かけて積み重ねられた人間の祈りが宿っています。言葉をなくすということは、文化の灯をひとつ消すことなのかもしれません。

 

プロフィール

プロフィール

藤井 厳喜

藤井 厳喜

国際政治学者。ハーバード大学大学院博士課程修了。日本のマスメディアでは決して報道されない、欧米政府が扱うレベルの政治・経済の動向、そして市民レベルの情報も踏まえて、文化、思想、宗教など多方面から分析し未来を的確に見抜くその予測能力は、内外の専門家から高く評価されている。