酒と対話があぶり出す

酒と対話があぶり出す

数字にできない人生の豊かさ

数字にできない人生の豊かさ

Dec 1, 2025

ゲスト

脊山 麻理子

お酒を片手に語られるのは、単なるグルメ談義でも、懐古話でもない。シードルやシェリー、焼酎といった酒を入口に、東京という街の記憶、江戸の暮らし、日本人の美意識、そして「数字では測れない豊かさ」へと話題は静かに、しかし確実に深まっていく。ゲストは脊山麻理子さん。効率や成果ばかりが求められる時代に、私たちは何を楽しみ、何を大切に生きてきたのか。藤井厳喜との対話は、その問いをやさしく、しかし鋭く突きつけてくる。最後に語られる「生きること」への視点は、ぜひ見逃さずに味わってほしい

1.酒は文化の記憶を呼び起こす装置

1.酒は文化の記憶を呼び起こす装置

シードルやシェリー、焼酎といった酒の話は、単なる味の好みを超えて、その土地の歴史や人の気質へとつながっていく。ブルターニュのシードル、スペインのシェリー、日本の焼酎。それぞれが「なぜその土地で、その形になったのか」を辿ることで、酒は文化の記憶を呼び起こす装置になる。大量生産や効率化では削ぎ落とされてしまう、その土地ならではの時間感覚や価値観が、グラス一杯の中に静かに宿っていることが語られる。

2.数字に出ない豊かさをどう捉えるか

2.数字に出ない豊かさをどう捉えるか

GDPや年収では測れない「豊かさ」が確かに存在する。南イタリアや江戸時代の暮らしの例を通して、藤井は、働きすぎず、楽しむことを生活に組み込んでいた人々の姿を描き出す。脊山さんの実体験も交えながら、効率や成果を追い求める現代社会が失いつつある感覚が浮かび上がる。数字にできないものを切り捨ててきた結果、私たちは本当に豊かになったのか。そんな問いが静かに残る。

3.生きることは「暇つぶし」でいいのかもしれない

3.生きることは「暇つぶし」でいいのかもしれない

対談の終盤、話題は生と死、偶然の出会いへと広がっていく。生まれてきたこと自体が奇跡であり、意味は後から誰かや何かが与えてくれるものなのかもしれない。猫との出会い、仕事との巡り合わせ、酒を酌み交わす時間。すべては計画通りにはいかないが、その不確かさこそが人生の味わいになる。深刻になりすぎず、しかし軽んじることもなく、「今を楽しむ」視点が、最後にそっと提示される。ここはぜひ最後まで味わってほしい。

内容紹介

内容紹介

  1. 酒は嗜好品じゃなく“記憶の入り口”

    シードルとシェリーが連れてくる、土地と人生の物語


  2. 数字では測れない豊かさ

    江戸・ヨーロッパ・東京をつなぐ「楽しむための生き方」


  3. 猫と酒と、少しの無駄話

    偶然を受け入れることで見えてくる人生の味わい

編集後記

編集後記

お酒の話から始まったはずの対談が、いつの間にか人生や文化の核心に触れていく。その流れこそが、この回のいちばんの魅力だと思います。効率や正解を求めすぎると、人生は途端に窮屈になる。でも、少し立ち止まって味わう時間を持てば、同じ景色でも違って見える。読み終えたあと、グラスを片手に「自分にとっての豊かさ」を考えたくなる、そんな一編でした。

 

プロフィール

プロフィール

脊山 麻理子

脊山 麻理子

フリーアナウンサー兼マルチタレント

フリーアナウンサー兼マルチタレント

元日本テレビアナウンサーであり、現在はフリーアナウンサー兼マルチタレント。知性と表現力を武器に、テレビ・ラジオ出演はもちろん、グラビアや写真家、さらにはプロレス挑戦など多彩な分野で活躍。慶應義塾大学卒という理系のバックグラウンドを持ちつつ、自分の枠を超えた挑戦を続ける、自由で多面的な表現者。