漫画サブカル
Sep 1, 2024
藤井 厳喜

数学。多くの人にとっては苦手科目かもしれません。しかし、漫画『はじめアルゴリズム』は、そんな印象を覆してくれる作品です。主人公は11歳の超天才少年・関口ハジメ。彼は独自の記号を作り出し、誰も理解できないほど斬新な発見を続けていきます。その姿は、実在の天才数学者ラマヌジャンを彷彿とさせるもの。物語には指導者やライバルとの関わりも描かれ、数学の世界を超えた“青春ドラマ”としても読みごたえ十分です。さらに、数学者・岡潔の思想や「数学は情緒でやるもの」という名言が作品の背景に流れ、学びや気づきを与えてくれます。
物語の中心は、常人には理解できない速度で数学を生み出してしまう少年・関口ハジメ。独自の記号を作り、誰も到達できない境地に踏み込む姿は、インドの天才数学者ラマヌジャンと重なります。その業績を理解可能な形に翻訳するのが、老数学者・内田やライバルの手嶋。彼らの存在があって初めて、少年の発見が“世の中に届く数学”となっていきます。

『はじめアルゴリズム』は数式の物語であると同時に、友情や恋愛を含んだ青春の物語でもあります。数学の世界を描きながら、少年が悩み、成長していく姿に読者は共感する。さらに「数学は若者の学問」と言われる背景や、研究者たちが抱える挫折と喜びも描かれています。数学を知らない人にも“生き方のヒント”が詰まっています!
作中で重ねられるのは、ラマヌジャンの生涯。論証を飛び越えて数式を“直感的に受け取った”彼は、世界に衝撃を与えましたが、早すぎる死を迎えました。漫画には彼の逸話「タクシー数」も登場し、数学史と物語が交錯します。岡潔の「数学は情緒でやるもの」という思想も紹介され、数学を単なる論理でなく“世界を理解する言語”として感じさせてくれます。

超天才・関口ハジメの才能と葛藤
数学を彩る青春と人間ドラマ
ラマヌジャンと数学の本質
『はじめアルゴリズム』を読むと、数学がただの数字の遊びではなく、人間の情緒や直感に根ざした営みであることが伝わってきます。ラマヌジャンの奇跡的な才能や、岡潔の言葉にある「数学は童心でやるもの」という思想。それらは主人公の姿と重なり、数学を人生のメタファーとして描き出しています。挫折とひらめき、孤独と仲間。そのすべてが数学の世界に息づいている。数学が苦手な人ほど、ぜひ手に取ってみてほしい作品です!
国際政治学者。ハーバード大学大学院博士課程修了。日本のマスメディアでは決して報道されない、欧米政府が扱うレベルの政治・経済の動向、そして市民レベルの情報も踏まえて、文化、思想、宗教など多方面から分析し未来を的確に見抜くその予測能力は、内外の専門家から高く評価されている。
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