透明な酒に、秋の深みを。

透明な酒に、秋の深みを。

藤井厳喜が語る“大人のテキーラ学”

藤井厳喜が語る“大人のテキーラ学”

Sep 30, 2024

藤井 厳喜

初秋の夜。喉を潤す一杯には、どんなお酒が似合うだろうか。藤井厳喜が今宵おすすめするのは、メキシコが誇る蒸留酒・テキーラ「罰ゲームの酒」と誤解されがちなこの一杯には、実は深い歴史と哲学が息づいています。本編では、テキーラの真価を知るための“飲み方”「バンデリータ」や、透明ながら熟成の旨みを秘めた「クリスタリーノ」 さらには日本の焼酎との意外な共鳴までを解説。「切れ味」だけじゃない、“秋の深み”を感じるテキーラの世界。初秋にふさわしい“知的な一杯”、最後まで見逃すな!

1. 「罰ゲームの酒」ではない。アガベが生む“聖なる一滴”

1. 「罰ゲームの酒」ではない。アガベが生む“聖なる一滴”

テキーラは、メキシコ・ハリスコ州テキーラ郡でのみ名乗れる“原産地呼称”のお酒。アガベという植物の根から搾った甘い汁を発酵・蒸留し、無色透明の「ブランコ」から、熟成による琥珀色の「レポサド」「アネホ」まで、香りとコクの深さで世界中のファンを魅了してきました。にもかかわらず、日本では「罰ゲームの酒」という誤解も根強い。藤井は語ります。「テキーラは本来、メキシコの魂が宿る美酒なのです」

2.メキシコ流“三色の旗”バンデリータの粋な作法

2.メキシコ流“三色の旗”バンデリータの粋な作法

テキーラの魅力を最大限に楽しむのが、“バンデリータ”という飲み方。テキーラ、サングリータ、ライムジュース。白・赤・緑の3色は、まさにメキシコ国旗の象徴。順番に口に含めば、甘味・辛味・酸味が交互に広がり、まるで“味の三重奏”のように舌の上でハーモニーを奏でます。さらに、熟成酒を一度濾過して透明に仕上げた「クリスタリーノ」は、

秋の夜にぴったりの、切れ味とコクを兼ね備えた逸品です。“色は軽やかに、味は深く”それが大人のテキーラです。

3.日本の焼酎も負けていない。秋の夜に似合う一杯

3.日本の焼酎も負けていない。秋の夜に似合う一杯

メキシコのテキーラと共鳴するのが、日本の焼酎。中でも、熊本の「あさぎりの花」は花の香りをまとった柔らかな米焼酎、宮崎の「尾鈴山蒸留所」は野趣あふれる芋焼酎。藤井は、ライムや炭酸で軽やかに割りながら味わう新しい飲み方を提案します。どちらも“熟成と野生”が共存する、秋の夜にふさわしい一杯。テキーラも焼酎も、自然の恵みと人の知恵が生んだ“風土の酒”なのです。酒は文化であり、土地の記憶。今宵、グラスの中から世界が見えてくる。

内容紹介

内容紹介

  1. テキーラは“罰ゲームの酒”じゃない

    アガベが宿すメキシコの魂と、知られざる文化の深み


  2. 三色の旗に込められた“味の哲学”

    辛味・酸味・甘味が奏でる、人生のハーモニー「バンデリータ」とは?


  3. 焼酎と響き合う“風土の知恵”

    メキシコと日本、二つの文化が教える“土地を味わう酒”の真髄

編集後記

編集後記

藤井先生が語るテキーラの話には、「お酒は文化を味わうもの」というメッセージが込められていました。テキーラを“罰ゲーム”としてではなく、“人生の伴奏”として楽しむ。そんな視点を持つだけで、グラスの中に広がる世界はまるで違って見えます。また、バンデリータに象徴される三色のハーモニーは、辛さや酸っぱさ、甘さが共存してこそ“人生の味”になるという、どこか哲学的な響きを感じさせます。そして、藤井先生が提案する「焼酎との共鳴」には、日本人らしい探究心と、異文化を包み込む寛容さがありました。今夜はどうぞ、自分の“風土”を思いながら、一杯を。その一滴が、世界とあなたをつなぐ“乾杯”になるはずです。

 

プロフィール

プロフィール

藤井 厳喜

藤井 厳喜

国際政治学者。ハーバード大学大学院博士課程修了。日本のマスメディアでは決して報道されない、欧米政府が扱うレベルの政治・経済の動向、そして市民レベルの情報も踏まえて、文化、思想、宗教など多方面から分析し未来を的確に見抜くその予測能力は、内外の専門家から高く評価されている。