藤井 厳喜


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戦争とは、銃を撃ち合うことだと思っていないか。元アメリカ陸軍大尉・飯柴智亮氏と藤井厳喜が語るのは、米軍が持つ「軍事的意思決定プロセス(MDMP)」という知的システムの全貌だ。最善から最悪まですべてのシナリオを計算し尽くして司令官に進言するこのプロセスは、ビジネスにも個人の人生設計にも即座に応用できる。そして今、米中間で静かに戦われている「超限戦」の実態、バイデン政権によって弱体化した米軍の現実、民間軍事会社を使いすぎた時の危険性まで、元大尉だからこそ語れる本音が続きます。
超限戦とは、軍事・経済・情報・サイバー・世論工作など、あらゆる手段を組み合わせた「制限なき戦争」のことだ。中国の空軍大佐2人が著した同名の書籍でその戦略が公開されてしまったことが、逆に中国側最大の失策だったと飯柴氏は指摘する。知られてしまえば対策が立てられるからだ。しかし日本側の準備は全く追いついていない。バイデン政権下でLGBTQ政策や戦車のEV化といった「非合理な指示」によって米軍の実力が大きく落ちた今、最も頼りにすべき同盟国の背中が揺らいでいる。超限戦の真っただ中にいながら、その認識すらできていない状態こそが最も危険だと警告する。

Military Decision Making Proces(MDMP)とは、作戦計画を立案する際に米軍が体系化した意思決定の手順だ。敵・味方それぞれのコースオブアクション(行動方針)を列挙し、損害の比較などから最善策を導き出して司令官に進言する。飯柴氏は「自分の人生にも使えた」と断言し、藤井も地政学の分析に同様の発想を自然に使っていたことを明かす。このプロセスは大隊長レベル以上で本格運用されるため、大尉の学校で必修となっている。自衛隊員もアメリカで習得しているはずだが、日米合同演習の現場ではほとんど活用されていないというのが飯柴氏の率直な実感だ。知っているのに使わない。そのギャップが日本の安全保障の弱点とも重なっている。

「軍人はみんな歩兵で最前線で戦っている」というイメージは完全な誤解だ。米軍には医師・弁護士・会計士・X線技師・画家まで、民間企業のあらゆる職種が揃っており、軍籍の半分は常に何らかの学校で学び続けている。飯柴氏は「米軍は巨大なシンクタンクだ」と表現する。そしてオフィサー(将校)とソルジャー(兵士)の役割は明確に分かれており、この区別こそが軍という組織を機能させる核心だ。変な平等主義を持ち込めば軍は動かなくなる。この原則はビジネス組織にも同じく当てはまる。民間軍事会社への委託が行き過ぎるとワグネルのような問題が起きるという指摘も、組織論として普遍的な教訓を含んでいる。

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目に見えない銃弾が飛び交う「超限戦」の今
公開されてしまった中国の戦略書と弱体化した同盟国の現実
米軍が大尉に叩き込む「意思決定の型」をビジネスに使う
MDMPが人生設計にも即応用できる理由
巨大シンクタンクとしての米軍の正体
役割分担の徹底が組織を機能させる唯一の原則
MDMPという言葉は初めて聞きましたが、最善から最悪まで全シナリオを計算して司令官に進言するという仕組みは、聞けば聞くほど「経営会議でもやるべきことだ」と思いました。飯柴さんが「自分の人生にも使えた」とおっしゃっていたのが印象的でした。軍籍の半分が学校に行っているという話も驚きで、戦う集団というより知的訓練を続ける集団というイメージが大きく変わりました。超限戦がすでに始まっているという話と合わせると、日本が今のんびりしていることの危うさが、より鮮明に感じられた回でした。

国際政治学者。ハーバード大学大学院博士課程修了。日本のマスメディアでは決して報道されない、欧米政府が扱うレベルの政治・経済の動向、そして市民レベルの情報も踏まえて、文化、思想、宗教など多方面から分析し未来を的確に見抜くその予測能力は、内外の専門家から高く評価されている。
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