酒
Jan 1, 2026
ゲスト
吉川 靖浩

神楽坂の名店『ぼん・りびえーる(Bon Riviere)』を営む吉川靖浩さんと藤井厳喜が、マーテルのコニャックを飲み比べながら語り合う対談の第二弾。XOからシャンパーニュまで、グレードを上げながら味わいを確かめていくうちに見えてきたのは、「高ければ良い」という単純な話ではなく、自分にとっての「ちょうどいい酒」を見極める大切さでした。水割りは邪道なのか?バーボンの個性とは?日本でウイスキーを造る若者たち。酒を通じて語られるのは、職人の美意識、好奇心、そして人生における選択の自由です。第一弾に続き、味覚だけでなく生き方や価値観にまで踏み込んだ、大人の対話をお楽しみください!
フランスでブランデーを水割りで飲んだ日本人が「お前バカか」と言われたものの、実際にフランス人が飲んでみたら「本当だな、うまいじゃないか」と認めたというエピソードが象徴的です。日本は良質な水に恵まれた国であり、水割りという文化は日本人の体質や食文化に合った自然な進化でした。寿司や天ぷらと一緒にウイスキーを楽しむなら、ストレートではなく水割りの方が料理の味を邪魔しません。大切なのは「正しい飲み方」を守ることではなく、自分がどう楽しむかという自由な姿勢です。酒も人生も、型にはまる必要はないのです!

最高級のマーテル・シャンパーニュを飲んだ吉川さんは、その素晴らしさを認めつつも「コルドンブルーの五倍の値段を出してこれを飲もうとは思わない」と率直に語ります。それは味が劣るからではなく、自分にとって「毎晩会える相手」がコルドンブルーだからです。シャンパーニュは「また縁があったらお会いしましょう」という距離感。対してコルドンブルーは「毎晩でも会いたい彼女」この感覚こそが、自分にとっての「ちょうどいい」を知る知恵であり、経済的な現実と折り合いをつけながら豊かに生きる術なのです。
藤井は個性の強いウイスキーよりジャック・ダニエルズのシナトラセレクトのような「標準的でスムーズなもの」が好み。吉川さんも同じで、職人としてはマニアックなフランス菓子が好きだけれど、お客様に勧めるなら「とっつきやすいもの」が大事だと認識しています。専門性を追求すればするほど世界は狭くなり、万人受けからは遠ざかる。それは酒もお菓子も同じです。しかし、その「狭い世界」を追求する若者たちが日本中に150ヶ所ものウイスキー蒸留所を立ち上げている事実もまた、文化の豊かさを物語っています。楽しむ側と造る側、それぞれの視点があるからこそ、多様な選択肢が生まれるのです!

水割りは「日本の発明」である
ルール違反ではなく、良質な水が生んだ文化的必然「毎晩会える相手」を選ぶ知恵
最高級と自分にとっての最高は違う。コスパを超えた人生哲学職人とマニア、楽しむ側と造る側
個性を追う者と親しみやすさを選ぶ者、それぞれの美学
第二弾は、より深く「選択」の話になっていったように感じます。高級な酒が必ずしも自分にとっての正解ではない。水割りという飲み方にも文化的な意味がある。そして、自分の「限界点」を知った上で最高を楽しむという成熟した姿勢。吉川さんの「毎晩会える相手」という言葉には、酒との付き合い方だけでなく、人生における選択全般に通じる哲学が詰まっていました。そして何より印象的だったのは、二人とも「飲み方に正解はない」と自由を大切にしながらも、それぞれの経験を通じて自分なりの「ちょうどいい」を見つけている点です。型にはまらず、でも自分の軸を持っている。そんな生き方の美しさを、グラスを傾けながら学んだ時間でした。

パリのようなテラス席のある洋菓子店:ぼん・りびえーる(Bon Riviere)ご主人
\ すでに購読さている方はコチラ /


