細いネクタイと森の生地が教える

細いネクタイと森の生地が教える

本物の「色」の哲学

本物の「色」の哲学

その他

ゲスト

金子さん・高山さん

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「ラペルがふわっとしているかどうかで、仕立ての良し悪しがわかる」プロのスタイリスト・金子さん・高山さんが明かす、スーツの本当の見分け方はそこから始まる。藤井厳喜が細いネクタイにこだわり続けた理由、森の中に工場を構えるイタリアの生地メーカーが水にこだわる理由、そしてオバマが謝罪会見でベージュのスーツを着た本当の意図。ジャック・ダニエルのシナトラセレクトを傾けながら語る、服と色と品格をめぐる本音対談の第2弾。「TPOと個性のバランスをどう取るか」という問いは、服だけでなく生き方そのものへの問いでもある!

1.本物のスーツを見分ける3つのポイント

1.本物のスーツを見分ける3つのポイント

安いスーツと本物のスーツの差はどこにあるのか。金子さん・高山さんが教えるチェックポイントは3つだ。1つ目はラペル(衿の折り返し部分)の立体感。毛芯がしっかり入っているものはふわっとした返りが出るが、安価な糊付け芯では平べったくなる。2つ目はステッチの美しさ。端の縫い目が丁寧に処理されているかどうかで職人の腕が見える。3つ目はボタンの素材。貝殻(シェル)や動物の角(ホーン)から削り出した天然ボタンは、半透明の中に血管の跡まで残っている。ポリエステル混紡の生地とウール100%の違いも同じで、天然素材は仕立てにも発色にも直接影響する。知識があれば、店頭で30秒もあれば本物かどうかがわかる。

2.「イタリア製を選んだら色が綺麗だった」は偶然じゃない

2.「イタリア製を選んだら色が綺麗だった」は偶然じゃない

50年代・60年代のアメリカ映画を見ると、肩幅の広い男たちが細いネクタイをしている。藤井はその美しさに惹かれ、太いネクタイを自分で細く仕立て直してまでこだわり続けてきた。肩幅の狭い日本人には細いネクタイの方が相対的に広く見える効果もある。そしてネクタイの色が美しいのはなぜイタリア製が多いのか。日本では横糸に使える色が3色までという技術的制約があるのに対し、イタリアは制約がない。さらに生地メーカー・ピアツェンツァは森の中に工場を構え、水質にこだわって染色する。ロロピアーナは最高品質の羊を自社で育て、一番いい原毛を自社製品に使う。「自然と選ぶとイタリアのものになる」という藤井の言葉は、偶然ではなく必然の話だ。

3.オバマのベージュスーツとポケットチーフの消滅

3.オバマのベージュスーツとポケットチーフの消滅

服はTPOに合わせるものだが、それを逆手に取る使い方もある。オバマ大統領がある謝罪会見でベージュのスーツを着て登場し、批判の矛先が政策ではなく洋服に向いたという話は、スタイリストの視点から見れば意図的な戦略だったかもしれないと高山さんは読む。トランプの朱赤に近い赤いネクタイも、カラーアドバイザーが計算した選択の可能性が高い。一方でレーガン時代に当たり前だったポケットチーフが、今のアメリカ政界からほぼ消えた。服は自分のために着るのではなく、相手への敬意と場への姿勢を表すものだ。松井秀喜が長嶋監督のパレードでスクエア折りのチーフを入れて横に立ったエピソードが、その本質を言い表している。

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内容紹介

内容紹介

  1. 30秒でわかる「本物のスーツ」の見極め方

    プロが街で無意識にやっているチェックの全貌


  2. なぜ色が美しいのはイタリアなのか

    細いネクタイへのこだわりが辿り着いた答え


  3. 服は「戦略」だ                              

    政治家たちが知っている着こなしの本当の力

編集後記

編集後記

貝殻のボタンに血管の跡が残っているという話には素直に驚いた。天然素材のディテールがそこまでリアルだとは思いませんでした。シナトラが7階建て倉庫の一番南側の樽を毎年買い占めていたという話も、美食家や服好きと同じ感覚で酒を選んでいたんだなと思うと妙に納得できた。「TPOと個性のバランスを最大限引き出す」という高山さんの言葉が、この回の全体を貫くテーマだと感じた。服も酒も、知識があって初めて本当の楽しみ方ができる。そのことを藤井先生の部屋で飲みながら話し合う場の贅沢さが、画面越しにも伝わってくる回でした!

 

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